運転は人柄が出る。
それは定評のはずなのに、フランスとドイツの運転は似てる。それが周囲からの評価だった。俺が、あの正反対の堅物と?似てる等と言われたのは、もちろんあらゆる分野において初めてだ。まさか、どこが。考えて見ても一向に分からない。何せ自分の運転というのは自分では体験できない。
ただ、
おれはこんな眠くなるような運転はしない、と思う。
ドイツの運転はなぜかものすごく眠くなる。遅いわけではない。下手なわけではない。むしろ、車好きと自負するように、上手いと言っても良いだろう。俺の知り合いの中でもとりわけと言っても良いくらい。ああ、だから眠くなるのかと、イギリスの運転を思い出す。あいつの運転は危なっかしくて眠ってなどいられない。あいつの運転する車に久しく乗っていない自分は懸命だ。それならば自分でする。
その点、ドイツの運転は制限速度ピッタリ、信号は守り前後左右の確認、車間距離にぬかりはない。唯一カーナビを信じすぎてどこぞにつっこむという欠点は、以前カーナビ除去という俺の判断によって解決した。そもそも俺はあまりカーナビというものが好きじゃない。車で移動などお互いの国でぐらいのものだから、地図を見る必要すら基本的には無い。

それにしてもやっぱり異常に眠い。
ブレーキもアクセルも強くないからか、とも思う。急な踏み込みは車に良くないだの、エコじゃないだの前に言っていた気がする。そのせいか。
眠い眠いと、最近その欲求に従って助手席で眠るのが習慣になってしまっているかもしれない。だいたいシートに気合を入れすぎだ。空間の余裕も眠りの原因の一つだろう。そう考えると、全てが眠りやすい環境として整えられていると思ってきた。
ベルリンから郊外へと抜ける道筋、窓から外を眺めるふりしてうつらうつらとしていた。先ほどから会話も持ちかけられない。眠っていると思われているのかも知れない。まだ寝ていない。なんとなく言い訳をしておきたい気分になったが、そのために口を開くのも億劫だった。
車の中ではこいつとの会話は何時にも増して少ない。もとから口数の多い方ではないから俺が話さない限り話の弾む相手とも言えないけれど。車好きで、どこか運転そのものすら楽しんでいるとも言えるこいつは、運転中はさらに口数が少ない。機嫌が悪いわけではない。多分むしろ良いのだろう。カーステレオから流れるわずかな音楽と、ドイツ製の車の静かなエンジン音。良い天気で、窓から入り込む日差しが眩しくも無くただ暖かかった。ちくしょう眠い。ただただ天気が心地よいのに免じて、今日も俺が負けておいてやろうと、シートの収まりの良い場所を見つけるため身じろぐ。
日が高い午後の郊外。たぶんローカルのラジオから流れる知らない音楽。
身体の力を抜ききったら、さらにアクセルを踏みこむ力が緩くなった気がして、そういえば結局自分とこいつの運転のどこが似てるんだっけと、ぼんやり思いながら眠りに落ちた。


うつらつら
09,11,28